新たな年、新たなプレシーズン。リリースから13年以上が過ぎたリーグ・オブ・レジェンドで、Riot Gamesは最も成功しているタイトルに全面的な変更を加えようとしています。世界で最も成功しているEスポーツのタイトルに関することとなれば、順応していくほかありません。
LoLのようなゲームには、常連プレイヤーを逃がさずにゲームの鮮度を保つ最適な方法として、新しいコンテンツやゲームのバランスを調整する変更、メタで人気なチャンピオンのローテーション、試合のプレイ方法の変更があります。これに関して、Riot Gamesはすでに、2週間ごとのバランスパッチやゲーム全体に対するシーズンごとの修正に取り組んでいます。
新機能を発表して実装する、あるいはフィードバックに対応することで、開発者とプレイヤーのつながりが生まれることが大切なのです。特にこの時期は、Riotの年間カレンダーにおいて最大のトーナメントであるWorldsの開催が近づいています。
Worlds 2022はとりわけ、Lee "Faker" Sang-hyeokのカムバックとT1(旧SKT1、これまで決勝に勝ち進んだことのなかった組織)のファイナル進出で沸いた、素晴らしいイベントとなりました。さらに、Kim "Deft" Hyuk-kyuと彼の所属するチームDRXのアンダードッグにおとぎ話のような展開もありました。キャリア10年目を迎えようとするDeftがWorldsで初優勝を飾り、これまで優勝した最年長プレイヤーADCを5歳上回って記録を塗り替えたのです。
ケミテックドレイク
不具合が多すぎて、Riotがリリース後に撤回した機能というのは非常に珍しいものです。通常、変更や新しいアイテム、新しいチャンピオンは問題なく動作することを確認したうえで導入するものです。例として、モルデカイザー、セナのスタッキングメカニックや、最近ではゼリのバランスがあまりにも悪かったために、弱体化ののち忘れ去られ、そのまま今後のお知らせまで放置させられるというリワーク前のヨリック のような扱いを受けました。
つまり、視界が制限されていてチームの動きが隠されているカモフラージュゾーンがあり、さらに悪名高きゾンビ出現のソウルバフもあるケミテックドレイクは、その撤回後、復活の噂にもコミュニティからは心配の声が挙がっていました。
それが、本当に復活します。改善されて生まれ変わったケミテックドレイク がついに帰ってきます。このオブジェクトをキルする際には注意が必要です。体力が半分以下になると、体力ダメージの割合が増加しはじめるため、戦いが終了する前にプレイヤー自身が終了してしまい、せっかくのチャンスをモノにできなくなるかもしれません。ケミテックドレイクをキルしたチームが受け取る新しいスタッツパッケージはシチュエーショナルなものが減り、テナシティが5%増加、体力回復およびシールド効果が5%増加します。テナシティは、主にカタリナ、ダイアナ、アカリのローミングアサシンの効果を高めますが、ファイターも同様です。
体力回復およびシールド効果は、魔法使いのサポートの価値を大きく引き上げます。これが インファーナル ドレイクのルルをはじめとするチャンピオンに、ADCチャンピオンと同等のインパクトを与えるものであることは想像できるはずです。
最初の2体のドレイクの後にロックしたケミテックソウルは、ドレイクのバリエーションに似たやり方でリフトを一変する予定です。ただし、撤回後のケミテックソウルのリフトはもはや、すでに負けているチームにプレッシャーを与える、息が詰まるような視界の悪さは与えません。
特に高いレベルのプレイにおいて、可視化するコーンがどれだけパワフルなものか、ケミテックソウルのおかげで確認できるのは興味深いでしょう。
ケミテックソウルの新しい効果は、植物の命を食することです。ハニーフルーツはスティムフルーツとなり、食べてもスロウ効果は受けなくなり、代わりにボーナスシールドを獲得します。ブラストコーンの範囲も倍に広がり、スクライヤーブルームはファイヤーライトブルーむになり、通常のコーンに加えて近距離の範囲攻撃を可視化できる一方で、攻撃した方向への移動速度が増加し、敵のワードの体力を1まで下げます。 昨シーズンのアンブラルグレイブのこの効果と、ゲーム序盤に主要なジャングルアイテムをつくるコストを考慮すると、この可視化コーンが実際どれだけ強力なのかを確認するのは、特に高いレベルのプレイでは興味深いものとなりそうです。
最後に、ケミテックソウルそのものは10%のダメージ耐性と、体力が50%以下でのダメージ10%増加を付与します。HPが満タンの状態でもこのソウルはかなり弱そうなので、10%のダメージ耐性が付いたとしても、みんなの抵抗力をほんの少しだけ上げる程度にしかなりません。それでも、ミッドレンジのHPをあまり持たないチャンピオンにとっては、このソウルはややシチュエーショナルなものとなります。 ― ADCと「squishy(へなへな)」チャンピオンは、特にゲーム終盤のステージにおいて、集中的に攻撃されるか、うまくポジションをとって多くのダメージを受けないようにすることが予想されるため、追加ダメージの利用が難しくなっていくはずです。
エリアとロールの変更
•ミッドレーン/トップレーン/ボトム(ボット)レーンソロでのレーン経験値は、ミッドレーンおよびトップレーンにおいて増加していきますが、ボトムレーンは年間を通してメタの中心にいた後に経験値が減少していきます。トップレーンで獲得した経験値は、パワーを高めてゲームへの適合性を全体として高めるために増加します。ミッドレーン も14分より前に、ミニオンから獲得するゴールドが減少していきます。
•ジャングルジャングルにはかなりの修正が行われました。昨シーズンのジャングルアイテムが置き換わり、ペットがリーグ・オブ・レジェンドに戻ってきます。ただし今回、Riot は馴染みぶかいところからインスピレーションを導き出しています。ジャングラーとして、グリーンのモスストンパー、レッドのスコーチクロウ、そしてブルーのガストウォーカーの中からスターティングペットを選択するところからゲームが始まります。
グリーンの モスストンパーは、モンスターキャンプをキルした後、および非戦闘状態になるとシールドを付与します。このシールドが有効な間はテナシティを得られます。レッドの スコーチクロウは100までスタックできます。1秒ごとに3スタックを獲得し、キャンプをキルすることで100スタックが付与されます。100スタックになると次の攻撃でAOEスロー効果を発動し、ターゲットの最大体力の1%を燃やします。ブルーのガストウォーカーは、茂みに入ると移動速度が上がり、大型モンスターをキルすると速度がさらに増加します。
どのペットを選んだとしても、防御バフを付与してくれるので、敵の近くにいても受けるダメージが少なくなります。試合を通して、スターティングペットは進化していきます。モンスターやチャンピオンを倒すたびに、60秒ごとに、そして大型モンスターをキルすると、コンパニオンにおやつが与えられます。このおやつによって進化していき、スマイトがそれぞれ600から900、1200に増加します。
- 記事:LoLベッティング入門
新たなシーズン開始に向けてキャンプにも変更が加えられ、ジャングルはピックのバリエーションが増えました。2つのキャンプを同時にクリアする能力は、もはやチャンピオンの条件ではなくなります。リーシュ範囲が新しくなったことで、隣接するキャンプから撤退するのを防いでくれます。キャンプを個別にクリアする際の難易度は上がりますが、各キャンプは新たなコンパニオン経由でマナとHPを回復し、コンパニオンはキャンプへの攻撃をアシストしてくれます。
Riotがジャングルをアップデートするたびに何かが壊れる、というのは周知のこと…ですから、これまでのシーズンで、ジャングルの外では弱体化して不健康になるピックがあったことを覚えておくといいかもしれません。
つまり、クリアを維持するのはあまり重要でなくなったわけですが、それを補うためにグロンプやスマイトではもう体力とマナは回復しないことに気づくでしょう。ジャングルプールに加えられたもうひとつの変更として、リバースカトルのシールドがなくなります。代わりに体力を増やすことで、ジャングルのチャンピオンがスタンせずにプレイできるようになりまし。
Riotが、最も選ばれているロールがプレイするジャングルをアップデートするたびに何かが壊れる、というのは周知のこと。ですから、ジャングルがこの状態のまま残る場合、これまでのシーズンでジャングルの外では弱体化して不健康になるピックがあったことを覚えておくといいかもしれません。
これには、リリース当初ジャングルでよくプレイされていたものの、バランスを理由に移動したサイラスやカミールなど、ハードなCCと機動力を持つチャンピオンや、エズリアルやナサスなどファームやスケールを選ばず自由に使えるチャンピオン、さらにトゥイッチやアクシャンなど、レーンに出現しては早々に姿をくらまして場を支配するような、ロール向けにビルドされていないキャラクターなどが含まれることになります。
利用しやすさ
Arcaneにまつわる大々的な広告と、リーグ・オブ・レジェンドのミュージックコラボライブラリーにリル・ナズ・Xを起用したこと、さらにWorlds 2022での卓越したストーリーラインを踏まえると、現在も新規プレイヤーが続々とLoLを始めているのは驚くことではありません。今回のアップデートで利用しやすさに変更が加えられたことで、リーグ・オブ・レジェンドを新たに始めるのにこれ以上適したタイミングはいまだかつてないと言っても過言ではありません。
ジャングラーをプレイしているあなたには、おすすめのジャングルルートが示されます。これは新規プレイヤーがロールをプレイしやすくする、非常に便利な機能です。
コミュニケーションホイールが新しくなります。新しいホイールには、これまでのアイコンがリニューアルされ、「プッシュ」「オールイン」「とどまろう」「ベイト」という4つの新しいピンが追加されました。もうひとつのホイールも追加されました。これは「敵の視界」「敵の視界を除去」「視界が必要」という3つのピンがある視界ホイールです。これらを使えば、コミュニケーションが格段にとりやすくなります。
サードパーティークライアントの多くは、ルーン、スキルレベリングオーダー、ジャングルルートをおすすめすることにより、ゲームと並んでプレイヤーが喜んでダウンロードするサービスを提供してきました。Riotは独自のバージョンで提供することで、これを緩和できると期待しました。
たとえば、一度チャンピオンをロックすると、3つのルーンページとレベルアップのおすすめが表示され、他のプレイヤーがどんなアビリティを選んでいるのかを示すインジケーターが表示されるようになります。ジャングラーをプレイしている場合、ジャングルルートのおすすめが表示されます。これはジャングラー初心者のプレイヤーにとっては、特に新しいキャンプ範囲を示すインジケーターを併せて活用することで、ロールをプレイしやすくなる非常に便利な機能です。
オブジェクトプランニングに関して、この変更が加えられる以前は、リーグ・オブ・レジェンドでプレイヤーが投票できるのは、降参するかどうかを決める場合のみでした。今後はオブジェクトをピンすれば、新しい投票システムが表示されてオブジェクトを提示します。オブジェクトを「取るか」「諦めるか」を選べるようになり、チームとしての意見が表示されます。それにより戦うか否かなど、チーム全体の意見について素早くコミュニケーションが取れるようになります。
比較的小さなオブジェクトでありながら、戦闘中の視界のさらに大きなオブジェクトの一部なのがワードです。敵のワードを発見したら、そのワードが破壊されるまでタイマーが表示されるようになります(ワードそのものが視界に入っている間に表示)。
アイテム
今年のプレシーズンは、タンクアイテムに重点が置かれました。新しいミシックオプションには、変幻自在のジャック・ショー、レディアント ヴァーチュ、心の鋼、アイスボーン ガントレットなどがあります。ジャック・ショーは長期戦の恩恵を受けます。近くにいる敵をドレインしてレジスタンスを増加する前にMRとアーマーをスタックします。レディアント ヴァーチュは最大体力を増加し、近くにいる味方がスキルヘイストを獲得します。アルティメットスキルを発動すると味方の体力が回復します。心の鋼は打ちこわしのルーンに似ていますが、チャンピオンに対しては、Procごとに増加した最大体力を恒久的に獲得します。アイスボーンはフロストファイアのリワーク版で、スロウ効果を与えます。
この中で、心の鋼が最も強いアイテムだと一般に認められていて、サイオン、カ・サンテ、マオカイなどのタンクから不死身のゴリアテが出現します。ただ、ヴェイン、スウェイン、コグ=マウなどのチャンピオンにたどり着くこともありました。後者のチャンピオンたちはアイテムを変更するか、そう遠くない未来に弱体化する可能性が高いため、使える間は酷使しましょう。
ターボ ケミタンクとサンファイア イージスはいずれもレジェンダリーアイテムに降格となりました。つまり、サンファイアは自動効果の発火を、ケミタンクは自動効果の燃料補給を失うということになります。ただしいずれも、新しいタンクミシックとともにビルドできるため、非常に危険な組み合わせも可能となります。また、ダイアナのようなチャンピオンは、昨シーズン一部で人気だったサンファイアをビルドできるということにもなります。
ナヴォリ クイックブレード、ラヴァナス ハイドラ、ランデュイン オーメンはすべて、変更となるADアイテムに戻り、そこにショウジンの矛も復活します。ナヴォリ クイックブレードは、グインソー レイジブレードやインフィニティ エッジに代わるアイテムとして機能します。カイ=サの自動効果、コグ=マウ のW、ヴェイン のWなどとの相性がよく、効果を増幅します。
ラヴァナス ハイドラには、ダークシールのAD変化形に例えられる新しい自動効果が追加され、ADをスタックします。ランデュイン オーメンはクリティカルダメージを軽減して、周囲の敵にスロウ効果を与えるようになります。ショウジンの矛は懐かしさあふれるアイテムで、ジャックスのプレイヤーたちは4年前にこのアイテムが削除されてから、復活の日をずっと夢見てきました。追加のスキルヘイストが非アルティメットスキルとして付与されることで、移動不能効果を持つスキルの場合は低下します。さらに減少体力に応じて移動速度が増加するので、カミール、ジャックス、リヴェンなど主にトップレーンで戦うファイターに最適なアイテムです。
最後に、APアイテムの変更と復活したコンポーネントアイテムについてです。久遠のカタリストが生まれ変わって復活します。ルビー とサファイアクリスタルでできた新しい久遠のカタリストはダメージを受けるとマナを回復し、マナを消費すると体力を回復します。ライズやカサディンのようにリソースが限られているチャンピオンが、レーンでのダメージを交換しやすくなります。
新しいミシックがもうひとつの馴染みぶかいアイテムであるロッド オブ エイジスであることを考えると、これはとても便利です。これはスケールするアイテムで、同じくスケールするチャンピオンを補完してくれます。完成すると体力、マナ、APを毎分、最大10回までスタックし、最大スタックになると使い手のレベルが1増加します。久遠のカタリストと効果を共有しながら移動速度も増加するこのアイテムは、ジリアン、ライズ、カサディンなどのチャンピオンを補完してくれます。
最後のアイテムはアビサル マスクです。これは久遠のカタリストをビルドパスに組み込むよう変更されており、自動効果を含みます。魔法防御と体力に使えて、サポートや前線のタンクにうってつけのアイテムですが、一般的にはレオナ、ノーチラス、タリックなどのチャンピオン向けのシチュエーショナルアイテムです。
まとめ
大きなカテゴリーに含まれない小さな変更が2つあります。タワープレートごとの獲得ゴールドが増加しましたが、強さも増しているため、レーンの支配で獲得できるゴールドはわずかに増えます。ラカンとリリアは遠隔攻撃から近接攻撃に変更されました。リリアはこれにより、征服者や、悪魔の抱擁などのアイテムとの相互作用にバフがかかります。ラカンはこれにより、レリックシールドを使用したプレイのぎこちなさが軽減されます。チョ=ガスのRは、新しいスマイトの価値に見合うようチャンピオン以外にバフがかかり、ヌヌのQも同じ理由で同様にバフがかかるようになりました。
AFK発生時の降参は今回、3分間から利用可能となります。試合開始から3分以内に出撃地点から90秒間動かないプレイヤーがいる場合、すべてのプレイヤーはチャンピオン選択中に匿名表示となります。つまり、プレイヤーの過去の戦歴を理由にスカウトやドッジを行うことができません。