Counter-Strikeシリーズは、昔からチームの登録メンバーは5名で固定されています。League of LegendsやOverwatchなど、他のeスポーツでは、登録メンバーを増やした環境へ移行していますが、CS:GOのほとんどのチームはこれまでのところ、6人以上のチームにしないという約束を守り続けています。
CS:GOの登録メンバーの歴史
歴史的に、CS:GOおよびCounterStrike全体で、登録メンバーは5名制を踏襲する傾向があります。チームがパフォーマンスを改革すべく登録メンバーの総入れ替えを選択しても、必要に迫られて1回限り緊急のスタンドインを利用することを選択しても、本当の意味で変化したことはありません。
eスポーツ全体のプロ化が拡大するにつれ、CS:GOの登録メンバーが増える可能性は高くなるでしょう。
後者の例は、かつてCS:GOではかなり頻繫に起こっていました。とくに有名なのが2017年の例で、Ninjas in Pyjamas (NiP)がOleksandr "s1mple" KostylievとEgor "flamie" Vasilevの助けを得て、ECS Season 3のオンラインゲームの最後の2戦でAdam "friberg" FribergとPatrik "f0rest" Lindbergを交代させました。当時このことがかなり論争の的となったのは、Na`Vi (この2名のプレイヤーが元いたチーム)がNiPよりも10ランク上であったこと、さらにこのスウェーデンのチームがトーナメント決勝の出場権を得る最高のチャンスをものにするために2名の強力なプレイヤーを移籍させたように思えたからです。
さらに最近ではFaZeが、2018年にOlof “olofmeister” Kajbjerが怪我で長期離脱した際にJorgen "cromen" RobertsenとRichard "Xizt" Landströmを採用しました。ただしこの例は、2名のプレイヤーがその期間中ずっとFaZeの専属だったことがNiPの例と異なります。
ここ数年、プレイヤーの給料がますます高騰するのに伴い、チームはプレイヤーを活動休止のポジションに移しています。これは「ベンチ」と言われることもあり、従来のスポーツの場合よりも多くの可能性を含んでいます。プレイヤーは、他のチームに売られるか、契約を解除されるか、登録メンバーに再度追加されるまで、活動休止のポジションに留まる傾向にあります。
CS:GOで登録メンバーの増員が最も起こりそうだったのは、複数の組織が一時的にアカデミーチームを運営したときでした。有名な例としてFnatic、North、EnVyUsがそのような試みを行いましたが、後に、トーナメントの競技ルールにより大多数の上位チームで取りやめになりました。実際には、チーム間でプレイヤーが入れ替わることは、あるとしてもまれだったのです。メインのチームに加えて控えのベンチを使用することを選択したのはごく最近のことです。
登録メンバーが6名のチームの台頭:Astralis
2020年の最初の数か月で、Astralisは、CS:GOのチームに6番目のメンバーを追加することを調査する時期だと判断しました。これはチームにとって初めてのことではなく、2016年にはBo “wantz” Vestergaardが一時的にチームの6番目のメンバーとなりました。ただ当時、このプレイヤーはひっそりと追加され、同デンマークチームの競技試合に一度も参加しませんでした。
一方、Patrick "es3tag" Hansenについては、同じデンマークチームでも大々的に発表がありました。Astralisは詳細なプレスリリースを作成し、es3tagがこのデンマークチームの「労働条件の改善」のために参加すると述べました。コーチのDanny “zonic” Sorensenは、のちにESL Pro League大会後のインタビューで、この移籍について説明しました。
本日ここに、Patrick 'es3tag' Hansenを追加して登録メンバーを増員することを発表します。
— Astralis (@astralisgg) 2020年3月22日
コーチの@zonicが、他のすべてのプレイヤーと対等の条件でチームに参加する@es3tagについて、さらにAstralisが今後6名の登録メンバーでどのように戦っていくかについて話しています。#LetsGoAstralis pic.twitter.com/U6pB3KyPvZ
Astralisは登録メンバーを増員した初めてのチームではなく、2019年にはAGOが登録メンバーを9名にしたことで注目を集めましたが、増員したチームとしてはこのデンマークのAstralisが最も有名です。増員したチームがどのように機能するかはまだ不透明で、アイデアを育んでいる段階です。噂やチーム自体のイベントでの発言によると、登録メンバーは6名にとどまらず、さらに増やすことを積極的に検討しているようです。
登録メンバーの増員を希望するすべてのチームの中で、Astralisが増員で最も利益を得るチームとなるかもしれません。このデンマークのチームは世界最高のチームとして広く認識されているため、部外者が見てもすぐにはわからないかもしれませんが、他の多くのチームよりも目立って燃え尽き症候群や健康問題に苦しんでいます。2019年シーズン当初は、世界一に輝き、立て続けにMajorのタイトルを獲得していたにもかかわらず、多くのイベントをスケジュールから外していました。
- 参考記事:CS:GO:今年を振り返って
ESL One:Cologne 2016 Majorでは、Peter “dupreeh” Rasmussenは虫垂炎を患い、コーチのzonicと交代を余儀なくされました。Nicolai “device” Reedtzも、何度も記事にされてきたストレスによる体調不良に陥っていました。過去にはこのストレスが原因で、いくつものイベントを欠席していました。チームの戦い方を熟知し、これらのプレイヤーの役割を担うことができる別のプレイヤーを活用することは、このようなレベルの高いチームにとって重要な手段です。
CS:GOの登録メンバーの規模は今後どうなるか
CS:GOの将来を考えたとき、登録メンバーを増員する動きが定着するかどうかは誰もはっきりとは分かりません。League of LegendsやOverwatchなどの試合では成功したかもしれませんが、CS:GOはどちらかというとこれまでのやり方に倣ってきたゲームであり、ゲーム内での変更はわずかしかありません。ゲーム外でも、少なくともValve主催のMajorに関して言うと、チームの5人中3人が同じメンバーという原則に固執しています。
第三の主催団体によるMajor以外の大会は、Astralisが新たに増員された登録メンバーを活用する最適な機会となるかもしれません。例えば、BLAST Premierが2020年を通じてトーナメントを主催する大会では、5名のスターティングメンバーと2名の控え選手(1名はコーチ兼任可)による7名のチームが許可されます。BLASTは、チームがシリーズのマップ間で、参加するプレイヤーを入れ替えることも許可しています。
2020年の最初の数か月で、Astralisは、CS:GOのチームに6番目のメンバーを追加することを調査する時期だと判断しました。
現在、登録メンバー増員の大きな障壁は、費用を抑えることです。CS:GOは、参加に最も費用がかかるeスポーツの1つとして知られ、収益を容易に定量化して分配できるフランチャイズ形式でのリーグがなければ、特に賞金の大半をプレイヤーが手にする場合は、利益を見積もることが困難です。
もう一つの障壁はチームそのものかもしれません。現在繰り返し戦っているチームで、5名の主要メンバー以外のプレイヤーがトレーニングに携わること、つまり自分たちの戦い方を教育することを認めるのでしょうか? 交代させられる可能性があると考えないはずはないので、このような質問が出るのも当然であり、このような試みはまだ成功をもたらしていないと考えられます。
ただしeスポーツ全体のプロ化が拡大するにつれ、CS:GOの登録メンバーが増える可能性は高くなるでしょう。身体面および精神面の両方で燃え尽き症候群の懸念があるので、組織がプレイヤーのためにそれを防ぐ方法を検討する可能性が確実に高くなるでしょう。
- 参考記事:CS:GO予想
CS:GOの将来は変化しようとしています。チームの戦い方は、現在の2020年とは違ってくるでしょう。よりメンバーの多いチームへの移行は、大会の状況や日程に対して考えられる解決策の1つにすぎません。チームが、そして当然プレイヤーが、現在参加しているようなトーナメントに進んで参加したいとは思わなくなる時期に来ています。