BLAST.tv Paris Majorまであと1か月となりました。Challengers Stageに進出する前に、まずは過酷なRegional Major Rankingを通過する必要があります。これらは、スイス式システムを用いた一連の予選トーナメントです。各トーナメントは地域ごとに分かれており、ヨーロッパには各地域で最も多くのトップチームが存在するため、ヨーロッパ内で2つのグループに分かれています。
ヨーロッパRMR Aは、理論上RMR Bと比べて過酷さは劣るとされています。とはいえ、熾烈な争いとなることには変わりないでしょう。NAVI、Virtus.pro、FaZe Clan、Fnatic、OG、MOUZといったチームが出場しますが、これらは名だたる強豪の一部にすぎません。前回のIEM Road to Rio RMRから戻ってきたチームもいくつか出場します。IEM Rio Major RMR AでG2 Esportsを下したGamerLegionは、そのうちの1つです。開幕戦は以下の組み合わせになっています。
英国のCS
出場チーム一覧の中でひときわ目立つのが、ViperioとInto the Breachです。英国からRMRの出場権を獲得したのはこの2チームだけです。残念ながら、Viperioは初戦で同じ英国出身のWilliam "mezii" Merrimanと対戦します。最近のFnaticは好調な様子で、個々のプレイヤーの強さを見せつけています。中でもNico "nicoodoz" Tamjidiは突出したプレイヤーで、ESL Pro League Season 17では1.16のHLTVレーティングを記録しています。この対戦はFnaticにとってかなり有利ではあるものの、Viperioも決して弱いチームではありません。RMRの出場権を掴むまでの中で、ViperioはベテランプレイヤーであるPatrik "f0rest" Lindberg、Olof "olofmeister" Kajbjer Gustafsson、Christopher "GeT_RiGhT" Alesund、Adam "friberg" Fribergを倒しています。CS:GO初期に比べると印象的なことではないかもしれませんが、それでも素晴らしい快挙です。
Into the Breachは、Owen "smooya" Butterfieldが短いトライアル期間を経験したこともあり、もう少し知名度が高いかもしれません。IEM Road to Rio RMR Bで出場権の獲得に向けて“smooya”がBenched Heroesでプレイしたとき、NAVIとの試合が彼の初戦になる予定でした(チームがビザの問題で撤退していなければ)。今回、Into the Breachの初戦の相手がNAVIとなったため、チャンスを逃したメンバーの思いを晴らすことができます。Into the Breachにとって唯一のプラスは、Andrij "npl" Kukharsjkyjの調子が悪いことです。彼は、ESL Pro League Season 17のグループステージで0.87のHLTVレーティングを記録しています。英国チームはこれをチャンスとして最大限利用するつもりでしょう。しかし、Oleksandr "s1mple" Kostyljevの存在は無視できません。
国際色豊かな挑戦者たち
今回のRMRには、FaZe、Fnatic、OG、MOUZ、GamerLegion、Sprout、Apeksといった国際色豊かなチームが多数出場します。
OGはNemanja "nexa" Isakovićが休養して以来、苦戦を強いられてきました。ESL Pro League Season 17では勝ち抜けるはずのグループにいたものの、プレーオフに進出できませんでした。また、初戦ではFaZeと対戦することになったため、苦しい時期はまだ続きそうです。FaZeは決して容易い相手ではありません。CSシーンで突出した精鋭プレイヤーだけでなく、経験豊富なプレイヤーも数人在籍しています。この試合はFaZeが勝利すると思われますが、初戦は1勝先取形式で行われるため、Abdulkhalik "degster" Gasanovのような個人プレイヤーが試合全体の流れを変える可能性もあります。
GamerLegionとApeksも初戦で戦うことになります。両チームはCCTでたびたび対戦しており、この大会では互いに1勝を記録しているため、かなり見応えのある試合になるでしょう。去年のIEM Rio MajorでGamerLegionが好成績を残したことを覚えている多くの視聴者は、Kamil "siuhy" Szkaradek率いるこのチームにすぐさまベットするかもしれません。しかし、この試合は接戦になることが予想されます。Overpassで行われる場合はなおさらです。
最後に紹介する国際チームは、MOUZ、Sprout、そして前述したFnaticです。MOUZは、現在ESEA Advancedに参戦しているウクライナのチーム、B8 Esportsと対戦します。David "frozen" Čerňanský、Jon "JDC" de Castro、Dorian "xertioN" Bermanの現在の調子を考えると、今回はMOUZが有利となるでしょう。Sproutは、フランスのチームFalconsと対戦します。このチームはKenny "kennyS" SchrubやNathan "NBK-" Schmitといったレジェンドたちで構成されていますが、現在のメンバーではまだタイトルを獲得できていません。Sproutは最近インゲームリーダーをAaron "AZR" Wardに変更したため、この対戦も見応えのある試合になるはずです。“AZR”は加入からまだ日が浅いため、活躍が期待されるのはMajor以降となるものの、これはチームにとって素晴らしい人選です。
戻ってきたおなじみのチーム
長年のファンであれば、Virtus.proの復活にすぐに気づいたかもしれません。このチームはOutsidersとしての活動を止め、CS:GO界隈では名の知れたVirtus.proとして再度活動できるようになりました。現在はMajorのタイトルを保持していますが、タイトル保持について考える前に予選を突破する必要があります。初戦の相手となるSAWは、ESL Pro League Season 17で1勝しか挙げられませんでした。Dzhami "Jame" Aliがチームにもたらすプレイスタイルは、SAWが慣れ親しんだものとは異なる種類の戦いを招くことになるでしょう。
最後に紹介する試合では、CIS地域の別のチームである1winがBad News Eagles (BNE)と対戦します。BNEがこの1年間でファンの人気を獲得したのは周知の事実です。また、2023年は新しいコーチとして、Major優勝者のJonatan "Devilwalk" Lundbergと契約したことで良いスタートを切りました。このチームはCCT Central Europe Malta Finalsではかなり好調に見えたものの、決勝でEternal Fireに破れてしまいました。一方の1winは、Igor "Forester" Bezotecheskiy、Denis "deko" Zhukov、そして元NAVI在籍のKirill "Boombl4" Mikhaylovといった優秀なプレイヤーが揃っています。多くの人が思うように、BNEの勝利が予想されますが、このRMRは“Devilwalk”が加入してからチームで実践してきたことを示す試金石になるでしょう。